法王とは女法王のページで説明させていただいた通り、聖職者としての最高地位を表します。
その地位をもって「一番神に近い人間」と言ってもいいかもしれません。「神に近づきたい、もっと近づきたい」彼は心の底からそう
思っていることでしょう。神に近づくために集中したいと思っていることでしょう。しかし、職務の性質上、現実世界、
つまり「俗」にも関わっていかなくてはいけません。いえ実は関わりたいという「欲望」を彼は無意識に持っています。
「欲望」と言ってもピンと来ないかもしれませんが、「世界に神の光を伝えたい」「信徒を導かなくては・・・」という思いです。
この「欲望」は「法王」として人の上に立つあるいは組織の頂点に立つためには必要不可欠ですが、この「欲望」が神に近づくためには邪魔なのです。
本当は邪魔ではないのですが、彼の精神構造ではそうなっているのです。
神にもっと近づきたいが現実世界に後ろ髪をひかれている。
つまり「聖」と「俗」の葛藤が彼のテーマです。
これを私たちに当てはめると「自分の本当にやりたい事」と「生活のための雑事」の葛藤となるでしょう。
葛藤をうまく処理することができれば「法王」としての役割は終わりですし、早くそうなることを周りから望まれています。
そうしなければ、下からの突き上げによって無理やり退位させられることになります。無理やり退位させられればまた魔術師からやり直しです。
志を立て直しまた道を歩く。私たちはこれを何回繰り返しているのでしょうね。