久しぶりにドン・ファンの教えを読み返した。
以前は民族学者の風変わりなフィールドワークレポートだと思っていた。
民族学者がメキシコの幻覚キノコの作用について淡々と述べているだけととらえていた。
でも本当は
邦題「呪術師と私」にあるように呪術師と一般人のすれ違いの会話集だった。
一流スポーツ選手が 潜在能力はあるがその自覚がない子供にスポーツの極意を教えているようなもので。
まったく噛み合わない。その噛み合わない感じがすごく面白い。
普通ならさじをなげてもよさそうなのに呪術師はそれでも忍耐強く一般人であるこの本の作者カルロス・カスタネダに呪術師への道を歩ませようとする。
カルロスは自分の目の前で繰り広げられる出来事を今の自分の「言葉」で理解しようとしているが、呪術師ドン・ファンはそんなことやめろと説く。そして実際に体験をさせていく。
素直になるのが一番、しかし素直に行動として素晴らしい体験をしたとしても人間は簡単に元の自分に戻るともいえるかもしれない。
どうしてもそこに執着してしまうようだ。自分の生活と呪術師の道のバランスが取れなくなった時、カルロスが選んだ行動とは?
一度、読んだ方が良いと思う。